伏見つかさ「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」(電撃文庫) 現在のライトノベルを代表する人気作のひとつ、伏見つかさ「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」(電撃文庫)が、今月発売の第12巻で完結した。文武両道、才色兼備な中学生の妹・桐乃(きりの)が、実は萌(も)えアニメやゲーム、なかでも妹モノを偏愛する重度の隠れオタクだと知ってしまった高校生の兄・高坂京介が、妹のオタク趣味を守るため奮闘し、新たな経験や出会いを重ねていくホームドラマ&ラブコメディーだ。 ライトノベルの特徴のひとつに、書き手と読み手の距離感の近さがある。コメディー系作品の多くに、ヒット作のパロディーやネットスラングといった「ネタ」が含まれているのも、作者が、読者と同じ目線を共有していることを示すためだろう。「妹萌えオタクの妹」をヒロインにした本作は、こうした側面をとことん追求したシリーズだと言える。 先に挙げた「ネタ」はも