作家自身は、どんな「本屋のお客」なんだろう?そしてどんな「本の読者」なんだろう? そんな疑問を、作家の方々に直撃インタビューです。 作家の読書道 第174回:彩瀬まるさん 2010年に「女による女のためのR‐18文学賞」読者賞を受賞、2013年に長篇小説『あのひとは蜘蛛を潰せない』で単行本デビューを果たした彩瀬まるさん。確かな筆致や心の機微をすくいとる作品世界が高く評価される一方、被災体験をつづった貴重なノンフィクション『暗い夜、星を数えて 3・11被災鉄道からの脱出』も話題に。海外で幼少期を過ごし、中2から壮大なファンタジーを書いていたという彼女の読書遍歴は? ――小さい頃の読書の思い出といいますと。 彩瀬:たくさんの本の印象が残っているわけではないんですけれども、ひとつだけ、何回読んでも号泣した本があるんです。4、5歳の、たぶんクリスマスの時に、竹下文子さんという方の『わたしおてつだい