シリーズ 四国山地リポート「考えぬ葦・ヒト」の営為② 山鳥坂ダム②消えて復活繰り返し 2024/3/4 シリーズ, 中山間, 経済 愛媛県大洲市肱川町山鳥坂。自然豊かなこの山あいにダム建設計画が降ってわいたのは半世紀以上も前のことだった。その効果には少なからぬ疑問符がつき、計画は幾度も水面下に没する。ところが…。反対する住民が「もう計画は消えた」と安堵するたび、なぜか計画は復活した。背景にあるのは国や県、松山市などのさまざまな思惑だった。(西原博之) 水不足解消の切り札だった そもそも山鳥坂ダムの起源ともいえる「南予水資源開発計画」が発表されたのは1970年にさかのぼる。高知県西部の四万十川から分水し、計画中だった肱川本流の野村ダムに導水。八幡浜市などに農業用水として流したあと、利用後の水は河口堰を設けて松山市へ分水する。四万十川の水で愛媛県の都市部だけが利を得るような構図だった。高知県が