いつからビールが美味しくなった? 大人になるにつれ、変化するものがある。その変化に目覚めた時、一気に好きになるのかもしれない。 少し、子供の頃の話をさせていただきたい。コーヒーを飲む父親を、なかなか恰好良いと思っていた。 何故あんなにも苦いものを、毎朝飲むのか。そして、なぜ美味しいなどと嘘をつくのか。 ひねくれた幼少期の私は、父が何か理由があってコーヒーを飲んでいると思っていた。それを飲むことが、父のお仕事だと漠然と思っていた。 毎月のお給料は、この苦いコーヒーを飲むことで支払われている。アレを飲まなければ、僕たちのご飯を買うこともできない。 何てイケてるんだ。しかもそれを、毎朝笑顔で飲み干すなんて。 この話を当時、祖母にしたことがある。 なぜ、父親はあんなに苦いものを飲めるのかと。僕たちのために、あんなに苦いものを飲んでいるのかと。 もうこの際、自分で言ってしまおう。今思い返せば、なんと