高福祉国家として話題に上るデンマークだって、変化の時代にあるのは同じ。知的好奇心をビリビリ刺激することが毎日起こっているデンマークの社会・福祉・教育の現在を、2002年からの研究生活を通じて「うちがわ」からレポート! デンマークの社会制度の中でこの10年ほどで最も大きく様変わりし、将来のあり方が危ぶまれるものは、医療セクターだと個人的には考えている。この傾向が過度に進めば、公共医療が機能しなくなり、お金やネットワーク、雇用形態などに恵まれた者だけを対象として民間の医療がその役割を代替していくことにもなりかねない。医療費がかからないため、病気になっても経済的な心配しなくて済むことはデンマークの社会保障の大きな意味を持ってきた。しかし、この前提が変わり始めている。 政府が民間の診療所や病院が医療体制の一部をなすように、民間病院の優遇を続けた結果、誰も保障された医療への公平なアクセスという福祉の