古(いにしえ)の身体技法をヒントに新しい介護技術を提案する古武術介護入門 kobujutsukaigo-nyumon 【第8回】 原理その6「足裏の垂直離陸」 岡田慎一郎(介護福祉士・介護支援専門員) (前回よりつづく) 前回は,表面からは見えにくい,身体の内部を有効に動かすことで大きなチカラを生み出す「体幹内処理」の原理による「添え立ち」をご紹介しました。今回は足裏を踏みしめず,浮かすように使う「足裏の垂直離陸」の原理を利用した抱え上げの技術「浮き取り」をご紹介します。 足裏の垂直離陸で抱え上げる――「浮き取り」 まずは論より証拠,「浮き取り」の技術を見ていただきましょう。現場の介護でもっとも苦労するのは,全介護状態の方をベッド,車椅子,トイレなどへ移動させることだと思いますが,「浮き取り」は,相手を1人で抱え上げてしまう技術です(図1)。一般的な身体の使い方でこれを行うのはかなり難しい