94歳の現役助産師・坂本フジヱさんは、5000人近い赤ちゃんを取り上げてきたという。昭和から平成にかけて70年以上、出産と子育ての現場にいる。 「3年前ぐらいから(ここで出産する人は)急速に減ってきましたね。若い人たちがいなくなったんです。大きな都会へね、仕事を求めて出ていった。この小さな村ではね、若い人たちが働ける場所がないですね。ですから、和歌山市から大阪、大阪よりも東京へ出ていってね」 「それに結婚する人が少ないです。男の人も一人が多いし、女の人も付き合ってる人がいてるのに結婚しない。で、結婚しても赤ちゃんをつくらない。将来の生活の不安ですね。子どもを育てたら必ずその子どもが自分たちの最期を看取ってくれる、っていう保証がない。だから、もうそれだったら、自分が働ける間に働いて、お金をためて施設で終末を終わろうというような考え方が多いんです」