急性心筋梗塞で病院搬送、緊急手術を受けたAさん、49歳。健康診断で血圧は若干高いが、脂質は「正常」と言われたばかりだった──。 最近、LDLコレステロール(LDL‐c)の基準値をめぐる議論喧しいが、じつは議論の方向が偏っている。最新の研究で心筋梗塞などの動脈硬化性疾患は、高LDL‐c値だけではなく、LDL‐c値とHDLコレステロール(HDL‐c)値のバランス異常が主な原因だとわかっているからだ。 脂質バランスの指標は、LDL‐c÷HDL‐c=「LH比」。動脈硬化性疾患を防ぐには、LH比2.0以下、高血圧や糖尿病など複数の生活習慣病を持っている人、心筋梗塞や脳梗塞の再発予防にはLH比1.5以下が望ましい。 実際、2004年1月から08年12月に日本大学板橋病院の心臓外科で、冠動脈バイパス手術を受けた重症患者(245例)の平均LDL‐cは 119.2mg/dL、HDL‐cは43.2mg/