大学への進学率が上がる一方で、底辺校といわれる大学では、学力の低い学生の存在に頭を悩ませている。千葉のある工業系大学で基礎数学の授業を受け持つ講師がいう。 「微分・積分など、高校レベルの学力がない程度ならばまだマシな方です。一次関数までレベルを下げてもまだ理解できない学生が多かったので、ひょっとしたらと思って九九の計算を解かせてみたんですが、全問正解したのは半数以下で仰天しましたよ」 こんな学生を、エンジニアとして就職させるのは不可能だ。埼玉大学教授の岡部恒治氏はこう語る。 「私が『分数ができない大学生』という著作を出してから10年が経ちますが、大学生の学力は当時よりもひどくなっている。現在、大学の半数以上は、正規の授業やゼミとは別に、小学生から高校生レベルの国語、数学などの補習授業を行ない、学び直させているんです」 埼玉の某大学で英語を教える講師はこう打ち明ける。 「ウチの大学では、中学