選挙は、武器を使わない言葉による戦争である。演説、パンフレットはもとより、知恵の限りを尽くして票をかき集める。1票でも多く票を集めた方が勝ち、という単純極まるルールで行われたスコットランド独立を問う住民投票は、「選挙戦」の名にふさわしい戦いだった。 ▼住民投票実施を認めたキャメロン英首相への風当たりはいまだに強いらしいが、雨降って地固まる。賛成、反対両派が正々堂々と戦ったおかげで、スコットランドの知名度はぐんと上がり、おまけに日本の株価まで上がった。 ▼メディアの役割も大きかった。英BBC放送が、「反対派優勢」と出た世論調査の結果を大きく扱わず、各地の投票所ごとに発表される正式な開票結果の速報に徹していたのはひとつの見識だった。 ▼人口の少ない地方から開票が進み、「勝った、負けた」で、両陣営が一喜一憂するさまを丁寧に伝えていた。空も白み始めたころ、大票田である都市部の票が開いた時点で「反対
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