とある。 1部だけでもゲテ本と呼ぶのか、一体いつごろからこの言葉が使われ、いつごろからゲテ本があったのか、などなど説明不足で疑問の残る解説だが、要は「奇をてらった装丁」と言うような意味なのだろう。 ゲテ本の本家本元の齊藤昌三自身は 「常道に外れた者を世人は奇人と稱し、常識をもって常道とする。常識は極端に云えば平凡で、水平線以下のものである。書物の装幀に於ても、普通には從来の慣例に依るものに馴らされ、多少斬新なものや、常道を逸したものをゲテ本と云ふ、故に昔の嵯峨本の如きも初めて世に出た頃は、當時の讀書人からは驚異の眼を以て迎えられたことであろうが、未だゲテ本の名稱こそなくも、常道から見ては矢張り一種のゲテ本であろう。」(「げて裝本の話」、『書斎随歩』、書物展望社、昭和19年3月)と、人間で云えば奇人の類いのようだ。 ゲテ本創作家としてよく知られているは、何といっても斎藤昌三であろう。数部だけ