芸術競技において審査過程の公平性を確保することは重要な課題である.本論文では,審査結果に意図せざる形で偏りが存在しているか否か,存在するとしたらどの程度影響を与えているのか,という問いに対して全日本吹奏楽コンクールを事例として分析を行った.分析の結果,演奏順が後ろであればあるほど有利であるという “overall order bias” と,一つ前の演奏団体のパフォーマンスから影響を受ける “sequential order bias” が存在することが示された.
「聴かずぎらいのための吹奏楽入門」(漆畑奈月、小室敬幸)を読了。吹奏楽というガラパゴス化した世界を外の聴衆へと啓く、といった意気込みのようなのだが、終始、ガラパゴスの論理と言葉とでつづられた対談、というのが正直なところ。なぜ、ここまで吹奏楽コンクールを軸に展開しなくてはならないのか。 日本の吹奏楽界がコンクール(全日本吹奏楽コンクール)を軸に回っていることは論を俟たない。子供(≒未成年、くらいのつもりだが)というものは社会的な尺度をもたず、それゆえに、よほど老成でもしていない限り自分を客観的に見定める方法を知らない(「中二病」なんて言葉が生まれるゆえだ)。よって、自分を褒めることも叱ることもできない彼らは、人からの評価を何より欲するもので、実際、大人が思う以上に競争好きだ。それゆえに、吹奏楽の場合、コンクールで審査員という権威に、金賞・銀賞といった賞を以って承認してもらいたいと思うのだろう
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