【パリ=三井美奈】1989年以後、中国への武器禁輸措置をとる欧州連合(EU)が部品輸出やライセンス生産などの形で軍備移転を続け、EUから中国への軍事関連物資の調達額が2012年までの10年間で約35億ユーロ(約4900億円)に上ることが27日、ストックホルム国際平和研究所のデータなどで分かった。 欧州の技術は中国軍増強のカギとなっており、日米が懸念を高める中、習近平・国家主席の訪欧で欧中協力は深まりそうだ。 禁輸は89年の天安門事件に対する制裁として発動されたが、「対象の解釈は各国に委ねられている」(EU報道官)ため、抜け穴がある。スウェーデンが「すべての軍備」を禁輸対象とする一方、英仏は「殺傷兵器」に限定。攻撃力の強化につながるエンジンやレーダーを輸出してきた。同研究所の調べでは、89年以降、ドイツのエンジン製造・整備大手「MTU」のディーゼル・エンジン56基が輸出され、中国海軍の039