ハンス・バルドゥング・グリーンが16世紀に描いた線画。ドイツの傭兵が死神と話をしている。ヨーロッパ全域でペストが流行するのに伴い、復讐を誓う飢えた不死者(アンデッド)の物語がドイツ語圏に広まった。そうした迷信が埋葬習慣に反映された可能性がある。(ILLUSTRATION BY DEA PICTURE LIBRARY, DE AGOSTINI/GETTY) 2014年、スイスの人類学者アメリー・アルタラウゲ氏は、数世紀前の共同墓地で見つかった奇妙な墓を調査するよう指示された。ベルン大学法医学研究所で働き始めてからわずか数日後のことだった。 共同墓地には340の墓があったが、その中の1つが際立っていた。教会の墓地の片隅に、中年の男性がうつぶせに埋葬されていたのだ。「このような墓を実際に見たのは初めてでした」とアルタラウゲ氏は振り返る。 曲がった肘の内側には、硬貨がいっぱいに詰まった財布と鉄製の