南シナ海やインド洋などで急速に台頭する中国の軍事力に対抗して、米国が戦略的な「アジア回帰」にかじを切った。中国との領有権問題やシーレーン(海上交通路)をめぐる覇権争いを抱える周辺国にも「軍拡」の動きは鮮明だ。北朝鮮の最高指導者、金正日総書記の死去で不安定要因が加わったアジア太平洋を舞台に2012年、同盟国を巻き込んだ米中両国のせめぎ合いはどうなるのか。(田中靖人 野口東秀) 中国の基本戦略は小笠原諸島から米軍の拠点・グアム、インドネシアを結ぶ「第二列島線」に勢力範囲を及ぼすことにある。軍事利用を視野にインド洋で港湾施設を整備する「真珠の首飾り」戦略や西太平洋などでの演習定例化、海洋調査船派遣などで米国に対する牽制(けんせい)を強めるだろう。将来的には米国並みの外洋海軍の建設を目指す。 中国は今、軍部の発言力が増しており、今後は周辺外交や安全保障政策に対する影響力が強まるかどうか注視しなくて