ECBのトリシェ前総裁の後任には当初、ドイツ出身者が就任するであろうことが暗黙の了解のようになっており、ドイツ連邦銀行(ブンデスバンク)のウェーバー総裁(当時)が最有力視されていた。しかし、そのウェーバー総裁は、「個人的な理由」で2011年4月末にドイツ連銀総裁を辞任した。 ウェーバー総裁は、ECB理事会において、インフレを加速し中央銀行の政治的独立性を損なうとして加盟国の国債買い入れに強硬に反対しており、それがドイツ連銀総裁を辞任し、つまりは次期ECB総裁候補から降りた要因となった。 ドイツ連銀でウェーバー総裁のあとを継いだバイトマン総裁も、メルケル首相の経済顧問を退いて以降は、国債買い入れに強く反対するようになった。 また、2011年9月には、ユルゲン・シュタルクECB専任理事が「個人的な事情」を理由に辞意を表明した。辞意の理由についてはユーロ圏諸国の国債買い入れに反対したものではない