「この日を迎えられるとは思わなかった」 「苦しんでいる人たちがいるのに、自分だけ『楽しい』と感じることに、ためらいを感じてしまう」 「黙って手を合わせるだけでなく、歌うことも、亡くなったひとたちへの鎮魂になると知った」 8月4日の午後、福島県会津若松市で、「ふくしま総文」の開会式が開かれた。そのハイライトである福島県の生徒による構成劇での台詞だ。 文化庁と全国高等学校文化連盟は、毎年各県もちまわりで全国高等学校総合文化祭(総文)を開催する。郷土芸能から管弦楽、演劇や写真展など、20前後の部門で、各県の予選を勝ち抜いてきたチームが競う、まさに文化の祭典だ。今年は35回目。福島の高校生たちは、数年前から自分たちで開催の準備を始めた。大会のマスコットとして地元名産の桃をかたどったマスコット「ぺしゅ。」君をつくり、会場の手配や、全国から集まる生徒たちの宿舎の準備をした。 そして開催まで5ヶ月を