老人語 (ろうじんご)とは、言語を位相的に捉えた時の分類の一つで[1]、高齢者の言語主体に特徴的な語彙・表現。また、役割語において、人物が高齢であることを表現するために用いられる特定の表現である[2]。類似の概念に児童語や若者語等がある。 漫画やアニメ、SF小説等の作品内では、高齢であることがストーリー上、重要な意味を持つ登場人物の言葉づかいに、一人称「わし」や語尾「じゃ」、打消し「ぬ(ん)」といった特定の言い回しが、しばしば用いられる[3]。金水敏によれば、このような「老人語」は、江戸時代の上方語が起源で、18世紀後半以降、セリフの約束事として、老人や知識人を表現するための役割語として芝居や戯作等の世界で使われだし、それが明治時代以降、小説や漫画などにも広まり、定着したものである[4]。 江戸時代初期、江戸の町では各地の方言が混在して使われていたが、その中で上方の言葉は相対的に威信を持っ