世界貿易機関(WTO)の事務局長選で、日本が究極の選択を迫られている。8日発表の最終候補は韓国産業通商資源省の兪明希(ユ・ミョンヒ)通商交渉本部長と、ナイジェリアのオコンジョイウェアラ元財務相の女性候補2人。日本と関係悪化が続く韓国の候補と、国際協調に背を向けてきた中国が推すナイジェリアの候補という顔ぶれだ。候補者がこの2人にしぼられるまで手を打てなかったことは日本外交の失態ともいえ、今後も難しい対応となりそうだ。 「米中の対立など難しい局面で、WTOをまとめられるだけの調整力のあるリーダーが新事務局長に望ましいというスタンスはずっと変わらない」 政府関係者は、こう言い切る。ただ、2人のいずれが選ばれても日本にとっては一筋縄ではいかない相手との思いがにじみ出る。