Number誌の特別連載「LONDON CALLING~ロンドンが呼んでいる~」。 7月27日の五輪開幕に向け、このシリーズを全文公開していきます! 今回はレスリング女子48kg級日本代表、小原日登美。 8度の世界選手権制覇を経験しながら、五輪に縁のなかったレスラーは、 なぜ一度は引退しながら、現役復帰を決断したのか――。 悲願の切符をつかむまでの10年にわたる“苦悩の日々”を追った、 Number795号(2012年1月12日発売)掲載のドキュメント。 静かな圧勝だった。 2011年12月22日、レスリング全日本選手権で、48kg級の小原日登美は、初戦から準決勝までをフォール勝ち。決勝こそ1ポイントを失ったものの、2つのピリオドを獲得し完勝。これらの試合の間、小原は磨き上げられた精緻な技をもって、表情ひとつかえることなく、淡々と勝ち進んだ。 今大会の優勝は、小原にロンドン五輪日本代表の切