女子高校生たちが注目する通勤通学グッズがある。満員電車などで身を守ってくれる「痴漢抑止バッジ」だ。2021年夏、この小さな缶バッジを巡り、インターネット上で中傷が相次ぐ騒ぎがあった。ただ、「ネット炎上」は思わぬ効果を生んだ。まずは、時計の針を1年8カ月前に戻したい。 若者への性暴力 現場で多いのは… <被害者がお金を出して身を守らなきゃいけないなんて草> 21年8月、一般社団法人「痴漢抑止活動センター」(大阪市)が短文投稿サイト「ツイッター」の公式アカウントに「痴漢抑止バッジ」の紹介を投稿したところ、リツイート(引用)とともに、こんな書き込みをされた。「草」はネット上の俗語で、嘲笑を意味することもある。 金属製のバッジは1個500円弱でネット販売していた。センターの代表理事、松永弥生さん(57)は「そういう受け止め方をされることはたまにあり、あまり気に留めませんでした」と振り返る。ところが