またも無職の男だ。「自分の人生を終わりにしたかった」と、無差別に刃物で斬りつけた。被害者は14人。茨城・JR取手駅で17日朝(2010年12月)起こった通り魔事件は、答えを出せないもどかしさと、事件に慣れてしまう怖さとが入り交じる。 午前7時40分ころ、通学の学生など約50人 が乗った路線バスに刃物を持った男が乗り込み、乗客12人に斬りつけた。男はいったん取り押さえられおとなしくなったが、再び後続のバスに乗り込んでさらに2人に斬りつけた。 男は斎藤勇太(27)。どんな生い立ちなのかというと、これもどこかで聞いた話になる。「もの静かで自分からは話しかけない。親友はいない」(高校の同級生)。卒業文集では「ストレスがたまりそうな人」「一生独身そうな人」のふたつで1位になっていた。本人には笑えない話だったろう。 勉強熱心だったともいうが、大学進学に失敗。職を転々とし、1年前から無職で、自宅に引きこ