抜粋池谷 「やる気」を生み出す脳の場所があるんですよ。側坐核と言いまして、脳のほぼ真ん中に左右ひとつずつある。側坐核の神経細胞はやっかいなことに、なかなか活動してくれないのです。どうすれば活動をはじめるかというと、ある程度の刺激が来た時だけです。つまり、「刺激が与えられるとさらに活動してくれる」ということでして……やる気がない場合でもやりはじめるしかない、ということなんですね。そのかわり、一度はじめると、やっているうちに側坐核が自己興奮してきて、集中力が高まって気分が乗ってくる。だから「やる気がないなぁと思っても、実際にやりはじめてみるしかない」のです。 糸井 やりはじめる前に、やる気がないのは当然なのですか? 池谷 はい。やってないから、やる気が出なくて当たり前です……この現象はクレペリンという心理学者が発見して「作業興奮」と呼ばれています。作業しているうちに脳が興奮してきて、作業に見合