■要旨 企業の内部留保への注目度がかつてないほどに高まっている。内部留保を巡る論調としては、「企業(特に大企業)がお金を使わず(人件費等に回さず)内部留保として溜め込んでいるので、景気の回復が阻害されている」というものが多い。今年10月に行われた衆議院選挙においても、希望の党が「大企業の内部留保に対する課税の検討」を公約に掲げ、大きな話題になった。 このように、内部留保は近年の日本経済を考えるうえで一つの重要なキーワードになっている。その状況について法人企業統計調査をもとに分析したうえで、課題を洗い出し、解決に向けた方策を考えてみたい。 ■目次 1―内部留保の状況 1|内部留保は過去最高水準にまで増加 2|利益の増加が内部留保増加の源泉 3|人件費の伸び抑制も増加に寄与 4|法人税・配当も利益ほど増えず 2―内部留保の活用状況 1|設備投資は力強さに欠ける、大企業は海外投資を活発化 2|余