ソフィーが目撃した祖父の秘密。ノルマンディーにあるソニエールの別荘で繰り広げられるシオン修道会の謎の性秘儀の情景。この聖婚秘儀の場面は作品全体の中でもきわめて重要な位置を占めていて、ドラマの序盤ですでに暗示されながら、全貌が明らかになるのは下巻に入ってからであり、読者の関心を惹きつけ続けるキー・モメントの役割を果たしている。作品が映画化された場合にも、このシーンは重要なアクセントとなるに違いなく、映画化を前提としている作者ブラウンは、この映像のアイディアに自信を持っている様子が窺える。と言うより、映画化が意識されていることを読者が了解するのは、まさにこのミステリアスで淫靡な性秘儀の場面の描写であり、一読して、忽ち頭の中にハリウッド映画の荒唐無稽な一場面が出来上がってしまうのだ。 男女が交互に並んで輪を作っている。黒、白、黒、白。女たちは美しい薄布のローブをふわりと波打たせ、右手に載せた金色
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