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ブックマーク / apartment-home.net (1)

  • 続いてゆく、とは | アパートメント

    ご主人が亡くなってからの約五年間を柴崎さんは独りで生活してきた。近くには長男家族も住んでいたが、認知症が進行し介護が難しくなったことから三年前ここに入居された。僕の入社直後のことなので、ほぼ同時期にこの施設にやってきたことになる。 柴崎さんは介護全般に拒否があり、帰宅願望も強い。二十分ほどしか記憶が保たれないので、ここがどこで、いまがどういう状況なのか常にわからない状態。それでも人が納得した物語りの中で今を過ごされてる時はとても穏やかだ。 そして、まるで眠ることを忘れてしまったかのように昼夜問わず徘徊をくり返す。 最も落ち着きがなくなるのは夕方から朝方にかけて。そろりそろりと扉へ向かう彼女に一体どのくらい声をかけただろう。 「どうかされましたか?」 「ちょっと家に帰ろうかと思って。」 「今日は遅いから泊まって行きませんか?外はもう暗いから危ないですよ。」 「帰って夕飯つくらないといけない

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