仕事中に居眠りしてしまう新人君を預かって一か月になる。居眠りというかガチ寝。彼は隣の部署(管理部門)の人間なのだが、ボスの「環境を変えれば、改善するかもしれない」という思いつきの一言により我が営業部に研修という名目で期間限定で在籍している。期限の7月末までが長い。長すぎる。居眠り新人君こと眠狂四郎には、営業事務と企画立案をやってもらっているのだけれど、かなり仕事が出来る人間であることがわかった。書類作成も迅速で無駄がなく、企画案も予算と目的をとらえたきっちりしたものを拵えてくる。「もしかしたらこれはとんでもない逸材かも…」と認識を改めている。 車で外出する際は、眠狂四郎にハンドルを任せると必殺居眠り運転を繰り出してかなり危険なので、僕が運転をするようになった。眠狂四郎は出かける際、ホワイトボードに行先を書き、それから車のキーを僕のもとに持ってきてくれるのだが、何も言わずに僕のデスクにベン!