東日本大震災から二年が経過しようとしている。私は最近船橋洋一の『カウントダウン・メルトダウン』を読み終えて、今回の原子力災害に関わった東京電力の関係者や官僚たちのあまりの愚かさというか無責任、人間としての卑しさに暗澹たる思いを新たにしたところである。この優れたドキュメントにはこのブログで応接するかもしれないが、その作業が楽しいものとなるとは思えない。 さて、震災と原子力災害という未曾有の事態に対して、作家たちはどのように応接したのだろうか。文学の領域では高橋源一郎の『恋する原発』や川上弘美の『神様2011』が思い浮かび、写真であれば東京都写真美術館における畠山直哉の個展やせんだいメディアテークにおける志賀理江子の「螺旋海岸」(私はこの展覧会は未見だが、先日、国立新美術館での「アーティスト・ファイル」でその片鱗に触れた)などが直ちに連想される。美術ではどうか。いくつか思い浮かぶ作品や展示がな
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