不世出の天才歌姫・中島みゆき 「天才」という言葉は本来、軽々しく使うべきではない。自戒を込めて書くが、この言葉をテレビをはじめとしたマスコミは好み、安易に使い過ぎる。「天才子役」「天才少年棋士」「天才少女ゴルファー」---。しかし、天才とは類い稀なる能力を持つ超人であり、そう簡単には現れない。天才が5年後、10年後に普通の人に戻ってしまうこともない。 けれど、シンガーソングライター・中島みゆき(62)は数少ない本物の天才の一人に違いない。仕事柄、音楽記者はもちろん、音楽関係者との付き合いもあるが、彼女の図抜けた才能を否定する人と出会ったことがない。誰もが賞賛する。不世出の歌姫だ。 デビューは1975年で、二枚目のシングルは「時代」。当時の中島はまだ23歳でありながら、この1曲に、諸行無常や輪廻など人間の営みの真理を凝縮することに成功した。どんなに言葉を並べても、簡単には説明できないことを易