クルーグマン:確かにあそこまで悪くなるとは予測できなかった。世界は複雑なものだし、仕方ないところはある。ただ、金融危機以降、多くの経済施策が機能してきたのは事実だ。金融緩和がインフレを招くとか、金利が高騰するとか言われていたが、まったくそういうことはなく、見事に効果を発揮した。 私自身がやってきたことがある意味、「詐欺行為では」と問われると自信がないが、経済学者にとっての問題は、将来を予測できないことではなく、まったく通用しない理論をふりかざし、こだわり続けることだろう。 スティグリッツ:景気回復はそれほど力強いものとはいえない。金融緩和は確かに機能した部分はあるが、それだけで十分だったとはいえない。財政施策や景気刺激策があって、ようやく軌道に乗り始めた。そもそも金融危機以前に、経済は破綻しており、バブルで命をつないできた。そこにわれわれ経済学者も政府も気づくべきだった。 経済学はまだまだ