色を“聴き”、単語を“味わう”人がいる。最新の研究によれば、複数の感覚が結び付く「共感覚」は脳の仕組みを理解する重要な手掛かりになるという。 共感覚が初めて科学的に記録されたのは1812年。以来、長年にわたって広く誤解されてきた。多くの専門家が軽い精神疾患の一種と考えていたのである。 カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)のデイビッド・ブラング(David Brang)氏は、「共感覚者にとって、“数字の2は青い”だけではない。2は男性で帽子をかぶっており、7と恋愛関係にある」と説明する。「このような擬人化が共感覚の症状かはわからない。しかし、多くの研究者は全くの作り話だと考え、興味を持てなかったようだ」。 だが、この30年で、共感覚に身体的な原因を示す証拠が相次いで示されている。例えば、共感覚者の脳は各部の結び付き方が異なる。また、遺伝しやすいため、遺伝要素も関係があるとみられ