国際卓越研究大学事業は、もともと5校程度と目されていたところ、東大、京大、東北大とタイムズ・ハイヤー・エデュケーションという有力ランキングの上位から3校が選ばれ、文科省の急な呼びかけのもと準備、応募した多くの大学はずっこけた。こうした応募に際しては職員のみならず、有力教員も多く駆り出され、膨大な手間をかけることになる。むろんそれらの研究者と大学では研究に投じるべきリソースが削がれることになるわけだが、いずれ追加公募があるとしても多くの大学で無駄骨が折られたことになる。これなら、指定国立大学法人制度を拡大して、世界ランキング上位の大学を特別国立大学法人等に指定して資金面の支援をすればよいような例外的な話にも思える。本件も、ファンドを運用することで、通常予算の外に別立てで「安定的な」予算を確保しようと目論んだ奇策だが、風向きが怪しい。文科省には費用対効果という概念がないのかもしれない。