山友会クリニックの前に集まったルボ・ジャンさん(前列左から2人目)と山谷地区の元労働者ら=東京都台東区で2019年7月26日、根岸基弘撮影 かつて労働者のまちだった東京・山谷(さんや)地区(東京都台東、荒川両区)で、日雇い労働者や路上生活者を無料で診察してきた診療所「山友(さんゆう)会クリニック」が、10月で開設から35年を迎える。NPO代表でカナダ出身のルボ・ジャンさん(74)らが寄付金を基にボランティア医師らと運営。高齢化した元労働者たちが肩を寄せ合って生きられる場も担う。 7月下旬、泪橋(なみだばし)交差点の南東約100メートルの、「ドヤ」と呼ばれる簡易宿泊所が建ち並ぶ一角。診療所が入るNPO「山友会」の3階建て建物の前に、日焼けした年配の男性たちが静かに座っていた。「飯食べた?」「元気か?」。タオルを首に巻いて帽子をかぶったジャンさんが、日本語で声をかける。頰を緩めた50代の男性は