毎年、秋になってくると今年は何人の日本人ノーベル賞受賞者がでるのかが話題になる。ノーベル賞に近いと言われている賞を誰がとっているとか、この人が有力だという報道が一斉に始まる。今年は物理学賞で三人の日本人の受賞者がでて、まちではこのことを伝える新聞の号外が配られた。だが毎年、受賞者が発表になると同時に、筆者はしばしば疑問に思うことにぶつかる。それは「日本人」受賞者という言い方だ。 一言で日本人といっても、日本人にはいろいろな意味がある。我々にとって、日本人とはどの範囲の人びとのことなのだろうか。最も公式的な日本人は日本国籍者としての日本人であろう。これは海外に出かけていくときに日本のパスポートを持っていく人びとのことだ。5年の有効期間のものであれば紺色の表紙のものを、10年の有効期間のものであれば赤色の表紙のあのパスポートである。 ところで、今年の受賞者3人のうち、一人はかつて日本のパスポー