「自分の経験上,モラル(責任感や倫理観)を維持したくてもできない時期があった。過酷な作業の中で,本来必須の作業すらこなせない。それが原因で問題が発生して非難されたとき,もう自分が悪いとは思わなかった」 日経コンピュータが5月30日から6月7日にかけて実施した,IT業界のモラルに関するアンケートに寄せられた自由意見の一つである。ソフトハウスに勤務するこの30代のエンジニアは,「後から結果を見て非難するだけなら,誰でもできる」と心情を訴えた。 本誌は,5月30日に公開した記者の眼「危機に瀕するIT業界の『モラル』」の中で,Webによる調査への協力を呼びかけた。短期間にもかかわらず,785人の方にご回答いただいた。この場を借りて御礼を申し上げたい。 記者がとりわけ強烈な印象を受けたのは,回答者が寄せた自由意見である。こうした調査に回答する人は,元から問題意識が高いのだろう。それを差し引いても,回