2020年春、緊急事態宣言が解除されてすぐに行われた無観客の日本ダービー。誘導馬になったサクセスブロッケンはついに“2度目”のダービーの舞台に立つという夢を叶えた。そして、担当の葛原耕二はホッと胸をなで下ろした。選ばれた18頭の3歳馬たちを安全に本馬場に送り届け、コロナ禍で外出を自粛しているテレビの前のファンたちを勇気づけるという務めを果たすことができたからだ。 ダービーが終わり、初夏の東京開催が終わるとローカル開催に移る。東京競馬場はオフシーズンに入り、サクセスブロッケンは秋開催に向けて10年目の暑い東京の夏を過ごした。まだ15歳だがナイーブな時もある馬。足もとが腫れることもあるのでこまめなケアも欠かさなかった。葛原をはじめ東京競馬場のスタッフの体調管理のもとトラブルなく過ごしていた。 「ファンはブロッケンを見守ってくれていた」 第二波も落ち着きに向かっていた秋、JRAは抽選による限定的