商品が多すぎて選べない半年ほど前である。鏡にうつる自分の顔のみすぼらしさに嫌気がさし、スキンケアをきちんとしなければと思い立った。私の顔は全体的にひどかった。仕事帰り、電車の窓にうつった私はいかにも生気がなく、まるで「会社の金を横領してつかまった経理部の中年男性」といった独特の陰鬱さがあった。われながら、この容姿はどうしたものかと情けなくなったのである。できればもう少し、はつらつとした顔になりたい。肌や身体の手入れをおろそかにしてきたツケがきたと思った。それまでも、風呂上がりに無印で買った安価な化粧水ぐらいはつけていたが、きちんとしたケアをしなければと考え、ドラッグストアへ向かったまではよかったものの、私は混乱した。商品の数が多すぎて、何を買えばいいのか見当がつかないのである。 スキンケア用品売り場はまさにカオスであった。化粧水だけでも何十種類もの商品が並んでいる。それだけではなく、乳液、