ここ10数年の日本経済や社会を語る際、「バブル崩壊後」というのが便利な枕言葉だった。が、どうやら王座を明け渡すときが来たようだ。つい先日発表された、石油ショック以来という二桁のGDPマイナスは衝撃的だった。後代の歴史書は今回の経済危機をどう名づけるのだろうか。 本書は、その震源地となったアメリカの金融市場の歴史を追い、未来に向けた処方箋を導き出そうとする。 副題で分かる通り、原因は「実体経済と離れた金融の暴走にあり」というのが著者の考えだが、いかにして暴走を防ぐか、については期待したほどの深い踏み込みはない。それでも、難解な専門用語で煙に巻くわけではなく、叙述も平易、「なぜこんな事態が起きたのか」を手軽に知る好著といえるだろう。 昨年9月15日のリーマン・ブラザース破綻に端を発した今回の恐慌。耳タコかもしれないが、問題の本質は〈サブプライム融資に内在するリスクが証券化という手法によって世界
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