16日未明の最大震度6強の「本震」に始まり、断続的に襲ってきた余震が、熊本、大分両県の大地を深く切り刻んだ。道路の寸断で孤立し、土石流で茶褐色と化した集落。雲が厚く垂れ込め、日没を待たずに降りだした大粒の雨が、自衛隊や警察、消防の救助隊の行く手を遮る。「必ず家族、友人の元へ戻る」。窮地を脱した被災者たちがいる一方で、刻々と犠牲者は増えた。避難所では食料や水などの物資不足という現実もあらわになってきた。 「なんということに…」神職や参拝人、絶句 熊本県民の「宝」、無残な姿 震度6強の激震が学生アパートを押しつぶした。熊本県南阿蘇村の河陽地区。近くにある東海大農学部の学生が多く住む「学生村」で、わずかな差が若者の生死を分けた。「突然どーんと突き上げられた後、何も分からず隙間に逃げ込んだ」。助かった若者は地面にへたり込み、やがて、がれきの中から発見された友人たちの遺体を涙で見送った。 崩れ落ち