研究室でのフィールド調査の帰り道、駅まで送ってくれるというのでお言葉に甘えて先輩の車に乗った。 国道を抜けて街中を走っている時、前方に踏切が現れた。 「単線なんですねー。珍しいです」「ここら辺けっこう田舎だからね」 そんな感じで会話しながら、先輩は自然な動作で窓を開けた。 季節は冬。もう日が落ちて肌寒くなり、暖房をつけるくらいの気温だ。普通なら窓を開けない。 先輩は上着を着たままだから暑いのかな?それか変な臭いでもするのかな? 不思議に思いながらも特にそのことに触れずにいたら、先輩は再び窓を閉めた。 ふと心当たりがあって、まさかとは思いながら聞いてみた。 「先輩、もしかして踏切の音確認してたんですか?」 「うん、そうだよ?」 「えっもしかして毎回踏切通るたびに窓開けてるんですか!?」 「えっだってそう習わない?」 「習いますけど…先輩って免許取ったのいつですか?」 「3年前かな?大学1年の