買い物からの帰り。 マンションの集合ポストの前でお巡りさんと鉢合わせする。日頃マンション内では見かけぬその姿。なになに?少しばかりの好奇心と少しばかりの不安と少しばかりの驚きで半歩後退る。 「こんにちは、何号室にお住まいですか」 分厚い台帳を広げながら、唐突ではあるけれどにこやかにお巡りさんらしき人が言った。 らしき人はもちろんお巡りさんの制服でお巡りさんの帽子を被っている。見かけはお巡りさん以外の何者でもない。しかし、あまりにも唐突すぎる声かけに、よろしくない想像が頭をもたげた。 本物? でもしかし、マンションの前にはお巡りさんの白い自転車が止まっていたのだった。サドルの後ろにある白い箱には、最寄りの交番名が書かれたシールも貼ってあった。 きっと本物。 はたしてお巡りさんが台帳から探しだしたカードには、うちの家族構成がわたしの字で記してある。 ああ、本物。 胸の内で疑ったことを詫びる。(