「何がなんでも一人1台」――樋渡啓祐前市長が推し進めた市内の全小中学校におけるタブレット型端末を使った教育事業は、機種選定役を担った同市の諮問機関「武雄市ICT教育推進協議会」(座長:松原聡東洋大教授)を牛耳った「デジタル教科書教材協議会(DiTT)」(会長:小宮山 宏 三菱総研理事長)の委員たちによって、大きく歪められていた。 武雄の教育界もこれに迎合。結局、「一人1台」のPC整備だけが目的化し、子どもの成績をどう上げるかといった議論はなおざりにしたまま、機種選定過程は異例の展開を見せることになる。(写真は武雄市役所) 不可解な再諮問―浮上した恵安製タブレット端末 自治体の事業をめぐる「諮問―答申」は一度で終わるのが普通。しかし、「一人1台」に固執したことでiPadを選べなくなった樋渡市政とDiTT所属の委員たちは、信じられない形で方針転換を図る。一次答申を受け記者会見まで開いていた樋渡