朝日新聞グローブ (GLOBE)｜Best seller[第46回] 日本を知ろう、学ぼう 泉京鹿 Kyoka Izumi 翻訳家 中国の報道系週刊誌の記者の友人が日本特集の取材のため、この8月、9月と日本出張を繰り返していた。自治体の首長や各界の著名人、専門家へのインタビュー、ゴミ処理場見学などのほか、地方都市にも足をのばして農業や工業の生産現場に密着するなど、取材は多岐にわたった。 そもそも、「こんな企画が持ち上がって」と相談を受けたのは6月のこと。時期からいって、7月のビザ発給条件緩和に伴い続々と日本へ押し寄せる中国人に向けて「もっと日本を知ろう」と呼びかける前向きな、日本に対して好意的な企画だったはずだ。中国で「80后」と呼ばれる80年代生まれのこの若い記者は、この取材で初めて日本を訪れ、公共の場の清潔さ、ゴミの分別などに見られる日本人のエコ意識の高さに、素直に感動していた。 しかし、その取材中、風向きが大きく変わってしまった。尖閣諸島
