わが国における地域の芸術環境整備はどのように行われてきたか ―その制度と実際、実演芸術と公立劇場との関係を中心に― 京都橘大学 小暮宣雄 2015.8 はじめに ―「ふるさと一億円事業」から― 1 論稿の趣旨 この論稿では、戦後の日本において、「地域芸術環境整備はどのように行われてきたか」という問いに対して、半分は、自らが地域芸術環境づくりに関与してきた参与的記録として、半分は地域芸術環境研究のための事例や制度の資料として記述し考察することにしたい。主には、四半世紀ぐらいのあいだに筆者自らが公務員時代に関わって実行した事業、組織についてと、退職後、大学教員になってから、芸術政策に関する法律制定などに際して考えたことなどについて、実演芸術と公立劇場との関係を中心に述べていく。 ここで、芸術「環境整備」、あるいは、芸術「環境づくり」というのは、芸術の創出と享受は個々の人びとが主役であるからであ