今年の高校野球界は大阪桐蔭高校(大阪)の春夏連覇の一方で、夏の大会で準優勝した金足農業高校(秋田)の躍進が話題を独占した年でもあった。 秋田の片田舎の公立農業高校が、吉田輝星投手を軸に予想を覆す快進撃を見せた。高校野球ファン、野球ファンのみならず日本中が、この青春ドラマのようなストーリーに沸き立ったのは記憶に新しいと思う。 その一方で金足農業の快進撃は高校野球が抱える、1つの大きな矛盾を投げかけるものだったことも、決して忘れてはならない事実であった。 それは勝利至上主義の中で、いかに選手を守るのかということだ。 高校野球は地方予選の1回戦から1つ、また1つと敗れた学校が消えていく。淘汰に淘汰を重ねて、甲子園球場で行われる本大会に出場しても、そこでまたたった1試合、敗れれば次の戦いに進む権利は失われる。そうして最後まで負けなかったチームが全国優勝という栄冠を手にするわけだ。 そのシステムが生