ガンダム世界の経済を、経済学や歴史などを用いて解釈し、想像の翼を広げることを試みる連載「ガンダム経済学」。宇宙世紀のインフレ、巨大企業アナハイム・エレクトロニクスに続く第3回は、セイラ・マスという個人に焦点を当てたい。 セイラ・マスの半生は波乱に満ちている。出生時の名前はアルテイシア・ソム・ダイクン。父であるジオン・ズム・ダイクンは、後に地球連邦との間で一年戦争を起こすサイド3の首相で、ジオニズムを提唱したカリスマ的指導者だったが、急逝。公式には病死とされたが、ザビ家による毒殺の可能性が高く、ダイクンの死を利用して、反地球連邦の機運を高めたザビ家は権勢を欲しいままにする。 ザビ家に遺児が害されることを恐れたダイクン派の手引きにより、セイラは兄であるキャスバル・レム・ダイクン(後のシャア・アズナブル)とともに、幼いながらにして命からがらサイド3を脱出。マス家の養子となり、医学を志したものの、