ハダカカメガイ科のクリオネは、翼足類の遊泳軟体動物だ。巻貝の仲間だが成長すると完全に貝殻を失う。 半透明でデリケートな体をしているが、強力な毒で海の捕食者たちを撃退する。 だが、クリオネの毒に対する耐性をつけ、背中に装着し、自分の身を守るための生物兵器として利用する大胆不敵なヤツがいる。 南極をかこむ南極海に生息する、甲殻網端脚類というエビに似た生き物たちだ。 共存共栄ではない。背中の背負ったクリオネは餌が食べられず、飢えて死ぬまでこき使われるという。 南極クリオネを誘拐し、背中に背負って魚類を撃退する端脚類 端脚類のいくつかの種は南極クリオネを誘拐して、リュックのように背負い込んでは、2本の足でがっちり掴んで逃げられないようにする。 いつもは端脚類が大好物な魚たちだが、クリオネの毒には耐えられない。やがてこれを背負った端脚類を避けるべきだと学習するようになるそうだ。 Backpackin