日本人はピーター・ドラッカー(Peter Ferdinand Drucker)の経営論が好きで、意外な分野――戦前さながらの旭日旗はためく高校野球とか――にも応用したいとまで考えるようだが、彼の晩年の思想はあまり顧みられていないようだ。日本の戦後の成功を理論的に支援したドラッカーではあるが、そしてそれゆえに懐かしの旋律として今も老人から、また老人のように保守化した若者世代にも好まれるのだろうが、彼自身はその後もずっと世界の変化をその第一線から見つめ続けていた。 ドラッカーは21世紀におけるグローバル化のなかで、日本の産業をどのように見ていただろうか。失敗と見ていた。保護主義によって衰退したメキシコ経済と日本の現状を並べて「明日を支配するもの」(参照)でこう語っている。 同じように日本も、金利の減免等によりいつかの産業を輸出産業として育てる一方で、多くの産業を外国の競争から守ってきた。この政