前から読みたかった『幸福の計算式』を出版社のひとが送ってくれた。とても面白い本だったので、ここで紹介したい。 世の中には、幸福の値段を計算しようとする学者がいる。本書の著者のニック・ポータヴィーもその一人で、タイに生まれ、イギリスで学んだ経済学者だ。 「幸福の計算」と聞いただけで拒絶反応を示すひともいるかもしれないから、具体的なデータでこの研究の面白さを説明しよう。 下図は、イギリスにおける年齢別のうつ病発生率だ。これを見ると、40台半ばを頂点にして、うつ病になる割合が見事な山型になっていることがわかる。ひとは若いときは幸福で、中年になるにしたがってだんだん不幸になり、50歳くらいからはまた幸福になっていくのだ。 年齢による幸福度の推移は、誰でもその理由を推察できるだろう。 結婚して子どもが生まれると、経済的な負担も重くなって人生がキツくなってくる。会社でも中間管理職になり、上と下に挟まれ
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