第二次世界大戦末期の昭和19(1944)年12月7日、静岡県西部から三重県にかけての太平洋沖を震源に、マグニチュード(M)7.9の海溝型地震が発生した。最も近い時期に起きた東南海地震だ。 この地震による愛知県内の被害は、名古屋大の飯田汲事(くめじ)名誉教授が詳細に調査し、町村別の総戸数と家屋倒壊数、死傷者数が判明している。筆者はこの被害統計に基づき、町村別の家屋の「被害率」を算出した。 被害率とは、家屋の全壊を1、半壊を0.5として町村ごとに集計し、総戸数に対する比率を表したものだ。これにより被害率40%以上=震度7▽40%未満20%以上=震度6強▽20%未満3%以上=震度6弱▽3%未満1%以上=震度5強▽1%未満0.1%以上=震度5弱-と、おおよその揺れの強さを判断できる。 この町村ごとの被害率を愛知県の地図に当てはめてみた。すると、昭和東南海地震で被害率が最大だったのは、現在の西尾市内